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ストーカー規制法について


2022.12.20弁護士ブログ


ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)は、恋愛のもつれが原因で生じる、
ストーカーと呼ばれる悪質な行為等を規制するための法律で、2000年11月に施行され、ストーカー行為に刑事罰が科せられるようになりました。

その後、社会情勢の変化やインターネット技術等の進歩によるストーカー行為の変化に伴い、
2013年6月、2016年12月、そして、2021年5月、法改正が行われています。

また、ストーカー規制法の法整備がすすめられた一方で、これまで交際関係にあった方に対して、
交際のもつれの延長線上で、自分でも知らず知らずのうちに行き過ぎた行為をしてしまい、ストーカー事件の容疑者となってしまう事例も少なくありません。
どのような行為がストーカー規制法の対象となり、どのような罰則があるのか、
また、ストーカー行為の被害あった時の対処法、ストーカー行為で逮捕された時の対処法など解説いたします。

1.ストーカー規制法が規制する行為とは?
ストーカー規制法の規制対象となる行為については、
「つきまとい等」・「位置情報無承諾取得等」・「ストーカー行為」です。
⑴「つきまとい等」とは
特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったこと に対する怨恨の感情を充足する目的で、その特定の者又はその家族等に対して次の
8つの行為を行うことをいいます。
●つきまとい、待ち伏せ、現に所在する場所又は住居・勤務先・学校その他通常所在する場所(住居等)の付近において見張り・うろつき、住居等に押し掛け等
例えば、
・相手方を尾行し、つきまとう。
・相手方の行動先(通勤途中、外出先等)で待ち伏せする。
・相手方の進路に立ちふさがる。
・相手側の自宅や職場・学校等や実際にいる場所の付近で見張りをする。
・相手方の自宅や職場・学校等や実際にいる場所に押し掛ける。
・相手方の自宅や職場・学校等や実際にいる場所の付近をみだりにうろつく。
● 監視していると告げる行為 
例えば、
・相手方の行動や服装等を電子メールや電話で告げる
・相手方が帰宅した途端に、「お帰りなさい」等と電話する。
・「お前をいつも監視しているぞ」等と監視していることを告げる。
・相手方がよくアクセスするインターネット上の掲示板に、相手方の 行動や服装などの内容等の書き込みを行う。
●面会や交際などの要求
例えば、
・拒否しているにもかかわらず、面会や交際、復縁等義務のないことを求める。
・家などにプレゼントを持って押し掛け、受け取るように要求する。 
●乱暴な言動
例えば、
・相手方に、大声で「バカヤロー」等と粗野な言葉を浴びせる。
・「コノヤロー」等の粗暴な内容のメールを送信する。
・相手方の家の前で、車のクラクションを鳴らしたりする。
●無言電話、拒否後の連続した電話・文書・ファックス・電子メール・SNSの
メッセージ等
例えば、
・相手方に電話をかけてくるが、何も告げない。(無言電話)
・相手方が拒否しているにもかかわらず、携帯電話や会社、自宅に何度も電話をかけてくる。
・相手方が拒否しているにもかかわらず、何度も連続してファクシミリや電子メール・SNSメッセージ・文書等を送信してくる。
・SNSやブログなどで悪意のあるメッセージを送る
●汚物等の送付
例えば、
・汚物や動物の死体等、不快感や嫌悪感を与えるものを相手方の自宅や職場等に送り付ける。
●名誉を傷つける
例えば、 
・相手方を中傷したり、名誉を傷つけるような内容の文章をインター
ネットに掲載したり、相手方にメールを送るなどして、相手に伝えようとする。
●性的羞恥心の侵害
例えば、
・わいせつな写真を相手方の自宅等に送り付けたり、インターネットに掲載して、相手方に伝えようとする。
・電話や手紙で、卑猥な言葉を告げて恥ずかしめるようにする。
⑵ 「位置情報無承諾取得等」とは
特定の者に対する恋愛感情、好意の感情又はその感情が満たされなかったこと
に対する怨恨の感情を充足させる目的で、次の①・➁の行為を行うことを言いま
す。
●承諾なく、位置情報記録・送信装置(GPS機器等)を用いて位置情報を取得す
る行為
例えば、
・相手に伝えずに、GPS機器が付いたものを渡してひそかに位置情報を取得する。
・無断で位置情報が共有できるアプリをダウンロードして自分のスマ ートフォンの位置情報を取得する。
●承諾なく、所持する物に位置情報記録・送信装置(GPS機器等を取り付ける
行為
例えば、
・持ち物や車等にGPS機器を無断で取り付ける。
・GPS機器を取り付けたプレゼントを直接手渡す。
⑶ 「ストーカー行為」とは
同一のものに対して、「つきまとい等」や「位置情報無承諾取得等」を繰り返
して行うことを「ストーカー行為」といいます。
ただし、「つきまとい等」の上記①から④及び⑤(電子メールの送受信に係る部
分限る)までの行為については、新単位の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われた場合に限ります。
これらに該当するストーカー行為は、警告・禁止命令等の対象となります。

2.ストーカー規制法の警告・禁止命令とは
ストーカー規制法で規制されている行為を行うと、警告・禁止命令の対象となり
す。
⑴警告とは
警告とは、被害者からの申し出に基づいて、警察本部長等(警察)が、つきまとい
等の加害者に対して、更に反復してつきまとい等を行ってはならない旨の警告をす
ることです。(ストーカー規制法第4条)
警告の方法としては、ストーカー行為をした者に対して、警察署に呼び出して書面を交付したり、携帯電話を通じて口頭で警告を行います。
⑵禁止命令とは
禁止命令とは、都道府県公安委員会が、つきまとい等の加害者が警告されている
に関わらず、更に反復してつきまとい等をするおそれがあると認める時は、当該行為をした者に対して、更に反復してつきまとい等をしてはならない旨の命令を発することです。(ストーカー規制法第5条)
禁止命令が発せられる際は、都道府県公安委員会は、ストーカー行為をした者に
対して、事情を説明して弁解する機会を与えます。

3.ストーカー規制法違反の罰則
ストーカー規制法に違反した場合は、刑事責任に問われる可能性があります。
●ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処
せられます。
●禁止命令等に違反してストーカー行為をした者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処せられます。
●その他禁止命令等に違反した者は、6か月以下の懲役または50万円以下の   罰金に処せられます。

4.ストーカー規制法違反の時効
ストーカー規制法違反の行為の時効は、刑事訴訟法第250条により、3年となります。

5. ストーカー被害に遭ってしまった場合
⑴ 証拠収集・保全
ストーカー行為の被害に遭ってしまった場合は、即時に、証拠を収集・保全さ    
れることを勧めします。
メッセージやライン等の履歴の保存は勿論のこと、無言電話や嫌がらせ電話の日時、内容、状況等をすべて記録・保存しておくことが有効です。
⑵ 警察に通報・相談
ストーカー行為が執拗に行われる場合は、警察にストーカーの被害に遭っていることをご相談ください。
また、つきまといや待ち伏せなどの行為が繰り返されている場合は、その場で110番通報をお勧めします。
警察が、あなたにとって最善の解決方法を見つけてくれます。
⑶ 直接相手とやり取りはしない
相手と直接やり取りを繰り返し、あいまいな態度を示しているとかえって相手方を期待させたり、相手方が逆上するリスクもあります。
やり取りの内容次第では、連絡や交渉自体を拒否しているわけではないと捉えられ、後から不利に働く可能性があるからことから、本当に被害に遭っているのであれば、相手とのやり取りはやめ、拒否の態度を明確にしましょう。 

6.ストーカー行為をしてしまった場合
⑴早期に、弁護士に相談
どのような経緯があっても、ストーカー行為は絶対に行ってはいけません。
しかし、自分でも知らず知らずのうちに行き過ぎた行為をしてしまい、ストーカー規制法違反の容疑者となってしまう場合があります。
警察から呼び出しや警告を受けた場合は、早期に、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
⑵ストーカー行為をやめる
警察から警告や禁止命令を受けた場合には、自分の行った行為がストーカー規
制法で規制されている行為に該当することを自覚し、ストーカー行為をやめまし ょう。
⑶被害者に直接連絡しない
警察から警告や禁止命令を受けた場合に、加害者は自分の行為がストーカー行 為ではないことを、被害者に直接伝え、理解してもらおうとするケースがあります。
加害者から、被害者に直接連絡することで、その行為自体がストーカー行為の繰り返しとみなされ、逮捕される場合がありますので、直接被害者に連絡しないことが重要です。

7.まとめ
ストーカー規制法は、規制対象となる行為が幅広く、日時生活と密接に関連していることから、誰しもが加害者や被害者になってしまう可能性があります。
中には、相手方をストーカーとして事実に反した訴えが行われる場合もあります。
昨今、捜査機関はストーカー行為等に対して厳しい対応を取る傾向にあり、
今まで交際関係にあったが、些細なもめごとから相手方が連絡を拒絶するようになったにも関わらず、執拗に連絡を行ったような場合、
ストーカー規制法違反として、逮捕されることもあります。
万一、ストーカー規制法に違反する行為をしているかもしれない場合や警告や禁止命令を受けた場合、
逮捕されてしまった場合には、早期に弁護士に依頼することをお勧めします。
弁護士を介し、被害者への示談の申し入れを行い、示談が成立した場合には、逮捕を免れたり、
逮捕されたとしても不起訴処分となる可能性が高くなります。

当弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所高松オフィスは、多くの刑事事件を取り扱っております。
ストーカー規制法に関する刑事事件に対して、不起訴処分の獲得実績も多数あり、経験も豊富です。
できる限り早期に、当弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所高松オフィスにご連絡、ご相談ください。

当弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所高松オフィス 代表弁護士 坪井 智之

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